PREPPY

31 Jul 2026
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31 Jul 2026
hair

「THE DETAIL BATTLE その1㎜に、理由がある」BATTLE 01

同じテーマに挑み、同じ条件で作品をつくる。
しかし、生まれるデザインは決して同じではない。
毛束の重なり、質感のつくり方、アウトラインのわずかな差。
それは、スタイリストたちがこだわり抜く"1㎜"の世界。
本企画では、そんな完成度を左右するミクロの差をマクロで解剖。
シーンを牽引する4組8名が"1㎜"に込めた想いを技術と対談でぶつけ合う。

ゴシックパンクをまとう
妖艶なショートスタイル

ヴァンパイアを思わせる妖しい表情を、ゴシックパンクの世界観で表現。耳まわりや前髪を大胆に切り込み、あえて触角ともみあげを残すことで「切る・残す」の価値観を再構築。100人より一人の心を深く動かす、『1%er』の精神性を宿したショートスタイル。
DAISUKE / MAGNOLiA

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1mm DETAIL
耳前を長く残す違和感のあるデザインを成立させるため、耳まわりの内側にラインを感じさせる切り込みをプラス。緻密なディテール設計によって、デザインとしてのまとまりを生み出した。

How To
CUT/ボックスレイヤーベース。ヘムラインからハチまで緩いグラデーションを入れ、ハチまわりでウエイトが出るボックスシルエットに。トップは地面と平行に引き出してレイヤーを入れ、セニングで先細りな束感を作る。
COLOR/6トーンのワインレッド。
STYLING/LIPPS ザ・グロスワックスとハードブラストワックスを混ぜて均一になじませる。ハチ上は立ち上げて散らし、ハチ下、えり足、もみあげはリバース感を強めながらタイトに抑える。

中性的な美をまとう
彫刻的なリーゼントスタイル

男性的な無骨さを削ぎ落とし、中性的で両性具有的な美しさを追求したスタイル。正面は王道リーゼント、俯瞰では夜会巻きを思わせるフォルムへと再構築。流麗で彫刻のようなシルエットをていねいに整え、写真から感情やストーリー、その場の匂いまで伝わる世界観を表現。
Okawa Hidenobu / Praha

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1mm DETAIL
王道リーゼントでありながら、ポンパドールは夜会巻きを彷彿とさせる丸みのあるフォルムに。毛先の巻き込みを深く設計し、女性的なニュアンスをまとわせることで、両性具有を表現した。

How To
CUT/ショートレイヤーベース。サイドからバックはグラデーションでタイトにカット。トップはセクションカットでやや短めに設定し、フロントは長めに残してボリュームをもたせる。STYLING/ブローでベースをつくり、ジェルをなじませてコームで整える。サイドはタイトに抑え、フロントは丸みをつけ、スプレーで固定。

MAGNOLiA DAISUKE
「100人に届くより、一人の心を100人分動かしたい。」
Praha 大川英伸
「大事なのは技術や才能よりも本能。」

100人に評価されるより一人に届くデザインを


DAISUKE:

以前から業界誌で大川さんの作品を拝見し、大川さんのような情熱が作品に現れる美容師になりたいと思っていました。美容やデザイン、カルチャーについて、お話を聞きたかったので、本当にうれしいです。大川さんが提案してくださった『1%er』というタイトルも、この企画にぴったりだと思いました。
大川英伸(以下、大川):
キーワードが「1㎜」だったので、「1%」と同じ意味だと考えました。髪型をつくるなかでは1㎜の違いかもしれないけれど、クリエイション全体で見れば1%の差。その1%にこそ、作り手のこだわりや狂気が宿ると思ったんです。
DAISUKE:
ふだんから今やりたい衝動や、自分がやったことがない未知のディテールに挑戦しているので、今回も「100人に評価されなくても、一人(1%)に100人分の感動や心に刺さる何かが作れたらいいな」と思いました。
大川:
尖ってますね。その考え方はどこで表現したんですか?
DAISUKE:
今回はディテールが主役になる企画だったので、耳まわりを大胆に切り込み、表面だけを残してドラキュラ伯爵のような妖しさを表現しました。ふだんなら切らないような前髪を切り込んだり、逆に切るのが当たり前の部分に疑問をもち、勇気をもって残すことで、SNS文化による刷り込みへのアンチテーゼとして、えり足の産毛やもみあげを残しました。
大川:
僕は昔からデザインを考えるときは、男性は女性、女性は男性のラインから考えるようにしています。なぜかというと、異なる性別の視点を借りることで、新しい発想が生まれるからなんです。
DAISUKE:
おもしろいですね。デザインはどう組み立てているんですか?
大川:
まずストーリーや画がポンと思い浮かぶんです。そこから、マスクをするから髪型はリーゼントがいいかななど、ディテールを鮮明にしていくんです。だからヘアは最後。今回は衣装や仕草で女性っぽさ、小物で男性っぽさを出しました。バチバチなリーゼントは男性的だけど、夜会巻きのような丸みのあるデザインにすることで、女性っぽさを意識しました。

ストーリーを描けばヘアは後からついてくる


DAISUKE:
僕は好きなゴシックパンクから着想を得ることが多いんですが、大川さんの世界観はどこから?
大川:
自然と湧いてくるんです。評価より、自分がかっこいいと思えるものをつくりたいんです。今回は、友人のために復讐を果たそうとする人物像を思い描きました。全部を説明したいわけではなく、空気感だけ伝わればいい。その先は見る人の想像に委ねたいから。
DAISUKE:
映画のワンシーンみたいですね。今日、『プラハ』さんで仕込みから撮影まで見させていただいて印象的だったのは、スタッフの皆さん全員が「自分たちも作品をつくる」という空気をもっていたことです。あの一体感が作品の力強さにつながっているんですね。
大川:
作品づくりを本気でおもしろいと思う人が集まった結果かもしれないですね。それこそ今の業界内では1%にあたるのかも。僕一人では作品はつくれないから頼もしいですね。今日のモデルさんもアシスタントの友人なんですよ。
DAISUKE:
世界観が飛び込んでくる写真なのに、ヘアがちゃんと主役になっている。さすがです。そのバランスが本当に勉強になりました。
大川:
リーゼントなのにえり足だけ少しハネさせたり、たばこをもつ指先に女性的なニュアンスを加えたり。そういう少し違う視点は最後まで削りませんでした。技術や才能はもちろん大切だけど、いちばん大事なのは本能。本能のまま衝動でやるのがいちばん楽しい。それができるまで自分を追い込むのは苦しいけどね(笑)。
DAISUKE:
大川さんの作品は、一目見ただけで「大川さんだ」とわかるんです。その唯一無二の存在感に憧れます。
大川:
DAISUKEくんにも、もう「らしさ」がありますよ。インスタグラムを拝見しても、誰ともかぶらない表現を目指して切磋琢磨しているのが伝わってきます。今回、勝負を挑まれて「負けないぞ」と思いました(笑)。やっぱり情熱ですね。
DAISUKE:
情熱だけは負けません(笑)。今日は作品だけでなく、『プラハ』さんのものづくりにも刺激を受けました。
大川:
僕もプレッシャーがあって楽しかったです。今の自分が切れるカードは出し切った。DAISUKEくんは、これからもっと自分らしい作品をつくれる人になると思うので、これからもお互い、自分にしかできない表現を追い続けていきたいですね。

photo: Matsuyama Yusuke(chiyoda-studio) text: Men's PREPPY

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STYLIST

MAGNOLiA DAISUKE

だいすけ。『マグノリア』青山店代表。山野美容専門学校卒業。色気のあるパーマスタイルが得意。車いじりにハマっている。

STYLIST

Praha 大川英伸

おおかわひでのぶ。『プラハ』代表。日本美容専門学校夜間部卒業。主体性のあるヘアスタイルが得意。最近は時間があると本を読んでいる。

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