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12 Jun 2025
12 Jun 2025
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ヘアと服と。【HEAVENS/世良田奏大】

デザインへの新たなアプローチはファッションと共にある。『ヘブンス』世良田奏大さんによる連載も3回目。新潮流として注目が高まる「WESTERN」をテーマに作品づくりに挑戦。

【WESTERN FASHION】古き良きアメリカのムードをモードに昇華し、ナチュラルに落とし込む。

ヘアは世良田さん、コーディネートは『YUKI』雪丸さんが担当。二人のセッションが見ものの今連載だが、今月はかねてより気になっていたというアメリカン・ファッションがお題。

世良田 「アメカジ」という言葉は広義。カントリーやフォークロア、ヒッピー、プレッピーファッションなど普遍的なスタイルがいくつもあります。そのアメリカンカルチャーから何を抽出するか、が第一歩だったけれど、「ウエスタンでいこう」とすんなり決まりましたね。

雪丸 そうだね。秋冬のシーズン的にもちょうどいいしね。ルイ・ヴィトンが今季のテーマにウエスタンとワークを掲げていて、時代も少しずつそちらにベクトルが向かっている予感。そして今日のファッションのインスピレーションの源は、アメリカの西部劇から。

世良田 せっかくやるなら、アメリカの原点に挑戦し、新しさを加えるのがおもしろいところ。ただわかりやすさは外せないので、ウエスタンブーツやフリンジのアウターなど代表的なものを入れつつ、短パンを合わせるあたりが雪丸さんらしい! と。

雪丸 本来のウエスタンなファッションはタイトでストレートなラインが主流。あえて全体をビッグフォルムにすることで旬な感じが楽しめるんじゃないかな。とはいえ、今回は着こなすのはなかなか難しいコーディネート。モデルさんの雰囲気がぴったりハマったね。髪はロングでいくと最初から決めていた?

世良田 ウエスタンと決めたときにロングのイメージが浮かんだんですよね。70年代のヒッピーカルチャーっぽさというか、どこか色気を感じる髪が僕自身がもともと好きなので。あと茶髪も気になっていて毛先を少し明るく、髪が傷んで自然と抜けているような風合いにしました。

雪丸 茶髪、いいよね。ここ数年はずっとカッコ悪いという位置付けだったから、今むしろカッコいい。みんながやらなくなって、一部のおしゃれな人たちがまた茶髪にし始めているよね。

世良田 ウエスタンファッションに茶髪の前髪ありのロングヘア。今回の作品から、新しいムードを感じてもらえたらうれしいですね。

1)「フリンジやデニム、アニマル柄。一つひとつのアイテムにパワーがある。僕自身もこの感じが好きなので、今回楽しかったですね」と雪丸さん。 2)バンダナをタイ風にアレンジ。きれいめな要素を加え、ウエスタンの無骨さを中和。 3)クラシカルさのあるウエスタンブーツ。短パンを組み合わせることでよりその存在感を発揮させる。 

服もヘアも「古くさくならないさじ加減に気を使った」と声を揃える、雪丸さん(右)と世良田さん(左)。

【Hippi LONG HAIR】茶髪のロングでウエスタンに新風を吹き込む。

CUT 自然と褪色したような抜けのあるヘア。

細く柔らかい髪質を生かしたロングヘア。ワンレングスベースに表面と顔まわりにレイヤーを入れてニュアンスをつけていく。カラーはプレーンなブラウンで、毛先のもとからの明るさを生かして染める。

前髪のカットから開始。三角ベースに取り、軽くパネルをリフトしてカット。前髪を巻いて目の上ギリギリになるバランスに設定する。

アウトラインは腰と胸の間の長さに設定。今回のモデルは軟毛のため、ワンレングスでもきれいに動きが出ることをふまえ、パネルは上げずにカットする。

耳前にレイヤーを入れる。ここはレイヤーで切り込むというよりも、段差をつけることで、厚みを残した毛束が動きやすくなるのをイメージする。耳前、顔まわりの順にややパネルを持ち上げてレイヤーをつなげる。

前髪とサイドの間、サイドバングはラウンドさせる。目元を囲むような毛束の表情をつくる。ベースカットはこれで終了。毛量を見ながら、質感調整を行う。

STYLING ゆるやかな前上がりにカールをつける。

毛先にかけてゆるくほつれるような質感をつくり、ナチュラルな風合いにしてWESTERNの世界観を表現する。

32㎜の太めのヘアアイロンで中間から巻き、毛先は外す。フォワードとリバースを交互にゆるやかなウェーブにする。

顔まわりにかけてウェーブが始まる位置を前上がりにする。サイドバングはちょうど前髪の端の高さから巻きつけてウェーブを出す。

最後にヘアバームを手のひらによくのばしてもみ込み、柔らかなタッチをつくる。今回使ったのはザ・モイ メイクバーム エフォートレスタッチ。軽やかな質感に仕上がる。

photo: Umetsu Shota text: Sugiura Akiko
model: Watanabe Fumito

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HEAVENS/世良田奏大

せらたそうた。1986年生まれ。東京都出身。日本美容専門学校卒業。『ヘブンス 表参道』ディレクターを務める。モードとストリートを融合した作風が持ち味。メンズパーマも得意とする。

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YUKI/雪丸秀隆

ゆきまるひでたか。1985年生まれ。鹿児島県出身。福岡ビューティーアート専門学校卒業。都内有名サロンで16年間勤務。2021年に自身のサロン『ユキ』をオープン。服好きが高じて服屋も営む。

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