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28 Aug 2025
28 Aug 2025
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パーマの名手・貴龍さんが指南。これから挑戦したいパーマ【vol.4 Manchester wolf ×turf curl】

一世を風靡した「重めマッシュ×強めのリッジパーマ」からトレンドは激変。今、そしてこれから来るパーマをイチ早く知りたいと『レクタ』貴龍さんの連載が開始。最終回は平成を代表するウルフヘアを、令和に新解釈したターフカールを披露。

かつてより熟したパーマ文化で、懐かしさもありつつ、半歩先へ。

一昨年くらいから注目されるスパイキーショート。そこに平成ブームをかけ合わせ、さらに半歩先行くムードに落とし込んだ今回のヘア。貴龍さんいわく、
「縦長のウルフシルエットは2000年代に流行ったベッカムヘア※からインスパイアを。当時はより先細なツンツンとしたタッチでしたが、そこに今のパーマ技術をもってきて、柔らかさのあるハイクオリティなデザインを狙いました」
 若い世代からは新鮮に映り、大人メンズにとっては懐かしさも感じられる。
「幅広い世代の方に楽しんでいただけますね。毛先がまるで芝(=ターフ)のように、シャープでありながらカール感を帯びていることから『ターフカール』と名づけました。根元をねじって毛束の方向性をバラしつつ、中間〜毛先を1.5回転巻いてワンカールを無造作に遊ばせていきます」
 つくるうえではズバリ、ねじることよりもむしろ、“どこをねじらないか”が秘訣。
「あくまでもパーマ感はロッドに巻いた毛先のカールが主役。それを散らすために根元をねじっています。ねじりが強くてカール自体がチリついてしまうのは今回の狙いとしてはNG。根元に空間が生まれ、カールがふわっとラフに動くのが理想です」
※ベッカムヘア…イングランドの元プロサッカー選手、デビット・ベッカムのソフトモヒカンヘア。マンチェスター・ユナイテッドFCに所属していたことから、今回のレイヤーヘアを「Manchester wolf」と命名。

根元のねじりから自然と広がる無造作感が見どころ。

ハイレイヤーベースにしているからこそきれいに決まる、ハチ下のオールリバースの毛流れ。ピンでつくる土台の上に柔らかいカールが重なる。抜け感、ラフ感を生かすよう、仕上げはクレイワックスとジェルワックスを混ぜてセミウェットに仕上げる。

『レクタ』貴龍さんが解説!

BEFORE

トップからハイレイヤーでつないだショート。サイドは少しスッキリさせる程度の刈上げ。間引くようにスライドカットを行い、毛量調整を行う。

サイド&バック

すべてつけ巻き。サイドはピンでリバースに巻く。フラットに巻き収め、ハチ下をタイトにする。

ヘムラインは毛流れに合わせてフォワードに巻く。毛束はレンガ状に、毛先の厚みを見てとる。

バックセンターはロッドを使用。ペーパーの上で毛先をまとめ、左に軽く曲げる。

毛先を曲げたまま、毛先巻き。これにより毛先を逃がした状態になる。次に巻く下のパネルは右に逃がし、交互にする。

横から見た状態。ステムを下げずにオンベースを意識。ダウンステムで巻くとボリュームが溜まってしまうため。ステムを上げて毛先のズレをつくる。

フロント&トップ

前髪はサイドのスライスラインから自然とつなげるように分け取り、まず中央から。左手を根元に添え、毛束をリバースに返す(=逆巻き)。

毛先をクルッと丸めて1回転。根元をリフトした状態をキープし、前髪の立ち上がりをつくる。

ひとつ右隣も根元をリフトし、内側に巻く。さらにその隣(=こめかみ)は根元をフラットにし、フォワードに巻く。

フロント2線目からはつむじに向かって巻く(=逆巻き)。レンガ状に毛束を取り、根元を2回転ほどねじる。

ねじりをキープしたまま、中間にロッドを当てて毛先を巻きつける。1.5回転のワンカールに。

根元のねじりをクローズアップ!(A)根元のねじりと(B)ねじらない部分の境目を左手の親指で抑える。

親指で抑えた部分をキープしたまま根元をねじる。こうすることで、根元をしっかりねじれ、かつ中間〜毛先に不要なツイストの質感が入らない。

動きの起点となるつむじを分け取り、ダッカールで留めておく。今回はつむじが頭のやや左の位置にある。

つむじが左にあるということは、右側(=ヘビーサイド)にボリュームが出やすい。つむじの右下の毛束をオンベースに引き出してねじる。

オンベースをキープしたまま、中間〜毛先を内巻きで1.5回転。

つむじの左側(=ライトサイド)は右側に比べてボリュームが出にくい。つむじの左下の毛束はアップステムでボリュームを出す。同様に根元をねじり、中間〜毛先を内巻きで1.5回転。

つむじの周囲を順に巻き進む。レンガ状に毛束を取って根元をねじり、つむじに向かって中間〜毛先を1.5回転。

つむじは割れやすいので根元をねじらない。逆巻きで1.5回転のワンカール。

ここまでサイド、ヘムラインのピンパーマ、バック、フロント、つむじ周辺のデザインポイントを巻き終えた状態。最後にその間(=ハチまわり)を埋めるような感覚で巻く。根元をねじり、逆巻きで1.5回転。

ROD ON

こめかみはフォワード、サイドはリバース、ヘムラインはフォワードで元の毛流れに合わせてピンパーマ。バックセンターは毛先巻き。トップ〜ミドルはつむじを起点にしてつむじに向けて1.5回転のワンカール。つむじのすぐ下の左右の毛束は内巻きでシルエットを調整。つむじの1本以外はすべて根元をねじり、カールがラフに動くようにする。

WASH OUT

システアミンベースの薬剤でつけ巻き。巻き上がりから8分自然放置して中間水洗。2剤はブロム酸で7分-7分の2度付け。

道具へのこだわりも完成度とスピードに関わるもの。貴龍さんの愛用する「エバーメイツ」のピン。長さやカール形状に合わせて使い分ける。奥のペーパーは程よいざらつきがあり、毛束をきれいに包める。

FINISH

スタイリングはクレイワックスとジェルワックスを混ぜて自然乾燥。マット感とウェット感のちょうど間、ツヤと無造作感のいい塩梅を狙う。

今回レクチャーして下さったのは……「RECTA」貴龍さん

よしたつ。『レクタ』ディレクター。国際文化理容美容専門学校国分寺校卒業。ひと目でそれと分かる、貴龍印の効いたムードあるパーマは業界内外にファン多数。@yoshitatsu___

【SALON DATA】
RECTA(レクタ)
東京都渋谷区神宮前6-12-2 KTビル2F 03-6805-1430

photo: Umetsu Shota text: Sugiura Akiko

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RECTA 貴龍

よしたつ。『レクタ』ディレクター。国際文化理容美容専門学校国分寺校卒業。ひと目でそれと分かる、貴龍印の効いたムードあるパーマは業界内外にファン多数。

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