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12 Jun 2025
12 Jun 2025
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カットのこだわり、全部見せます!【「yiye」小俣恭平編】

美容師の根幹となるカット。骨格補正や似合わせの考え方から、使う道具までそのこだわりは実にさまざま。今回は「yiye」小俣恭平さんの話を参考にあなたのカットを見つめてみて。

骨格に無理なく、少しの違和感をカットでつくり出す

僕が切る理由があること。そのためにはお客さまも気づいていない魅力を引き出すことが欠かせません。骨格や髪質を生かしつつわずかな違和感を取り入れ、新鮮に感じてもらえるヘアを目指して「こんな風に切ってみたら?」とトライ&エラーを重ねてきました。正直、あまり“型”というのはありません。シザーでつくるラインやレザーの柔らかいタッチ、スライドとストロークによる質感操作など適宜選びながら、狙ったイメージにカットしていき、同時にその日のお客さまの気分や僕自身のフィーリングも加えることを大切にしています。

TOOLS

CPCのコーム(1)はフィット感がよく3本ストックする愛用品。シザーは3丁のシンプルなセッティング。引っかかりが少なく量感を操作しやすいセニング(2)、ウェットでもドライでも万能に使えるベース用シザー(3)、根元は逃がしやすく毛先は切れ味よく調整するアールシザー(4)。レザー(5)は細部にアプローチしやすい小ぶりタイプ。

似合わせのポイントは「骨格に合わせて描いたカーブライン」

お客さまにとって新しいバランスを心がける小俣さん。大胆にほおにかかる毛束やワイドバングという主張の強いデザインを取り入れつつ、なじみよくする秘訣は“骨格に無理がない”こと。前髪の角(こめかみ)をゆるやかなU字の曲線に切り、顔立ちに似合わせる。

違和感の取り入れ方は「えり足の角をあえて残し、ひとクセを」

ショートでは落とすことの多いえり足の角を残した今回のヘア。フロントのマッシュに反するように効かせた角でエッジをひとさじ。レザーを使うことで毛先が柔らかくなり悪目立ちしないバランスに仕上げていて、こうした挑戦しやすい遊びがお客さまに喜ばれる。

再現性を高めるには「スライドとストロークを使い分ける」

毛束の上からシザーが入るスライドカットは上が短くなるため、フォルムが引き締まる。逆に内側を間引くストロークカットは空間が生まれてふんわり仕上がる。抑えたい部分はスライド、動かしたい部分はストロークを行い、髪質に対応することで再現性もアップ。

質感づくりのこだわりは「シザーの硬さとレザーの柔らかさをミックス」

違和感の話にも通じるが、異なる質感を組み合わせることでオリジナリティのあるカットを目指す。フロントのマッシュはシザーでラインを出すのに対し、バックはレザーでなめらかな毛先の段差をつくる。ショートヘアでも個性を楽しんでもらうための工夫だ。

How to
CUT/イヤー・トゥ・イヤーで分けて前はマッシュ、後ろはレイヤーベースのショート。フロント〜サイドはシザーを使い、前髪はワイドバングにしてこめかみ部分をU字に切り込み、顔まわりは頬骨の張る位置から角を残すようにカット。バックはレザーを使い、アンダー、ミドル、オーバーの3セクションでレイヤーを入れる。STYLING/完全ドライの状態でファイバー系ワックスを全体にもみ込み、ナチュラルなツヤを与えて整える。

※記事は取材時のものです

photo:Umetsu Shota text:Kobayashi Mariko,Sugiura Akiko

stylist

「yiye」小俣恭平

おまたきょうへい。『ヤイエ』代表。1995年生まれ。栃木県出身。日本美容専門学校卒業。

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