創立20周年を迎え、ますます存在感を増す『ストラマ』。代表・豊田永秀さんと、若手を率いるリーダー・春宮雅之さんが同じテーマを掲げて師弟初の競演。どんなに時代が変わろうと、各世代のリーダーたちが受け継ぎ、磨いてきた『ストラマ』の信念を、クリエイティブ作品とインタビューで披露していただきました。
未完成/TOYODA NAGAHIDE

違和感/TOYODA NAGAHIDE

未完成/TOYODA NAGAHIDE

違和感/TOYODA NAGAHIDE

未完成/HARUMIYA MASAYUKI

違和感/HARUMIYA MASAYUKI

未完成/HARUMIYA MASAYUKI

違和感/HARUMIYA MASAYUKI

interview
STRAMA
TOYODA NAGAHIDE&HARUMIYA MASAYUKI

どんなに時代が変わろうと、変わらないことで『ストラマ』の存在感を示す。
『ストラマ』創業20年の節目に、若手のリーダー春宮との競演ということで、ずっと大切にしてきたキーワード「未完成」と「違和感」を共通テーマに選びました。「未完成」は、サロンの内装、スタッフ教育、サロンワークすべてに共通する思い。サロンを出るときのヘアが完成形ではなく、お客さまが自宅でスタイリングしたときに完成することを目指して、僕たちはヘアに向き合っています。「違和感」は予定調和とか想像の範囲内ではないということ。前に進むためには、新鮮さ、新発見など、常に進歩進化していくための「違和感」が必要です。出る杭は打たれるものですが、僕らは打ちません。ヘアもファッションも音楽も、グッとくるものをつくるには、違和感が絶対に大切なんです。
春宮は、入社以来10年の成長を見てきましたが、今日の撮影でも成長を目の当たりにし、とても嬉しかったです。モデルのセレクト、ストーリー性、チームワーク、髪の動かし方、すべて抜群。彼が目指す方向性も確立され、得意技をぶつけて挑んできたなと思いました。美容師は、これをすれば成長できるといった明確な答えはないけれど、春宮は人としてのあり方を見つめてきた人。ストラマの理念である「謙虚・感謝・志」を胸に刻み、それを組み立てて行動に落とし込めたからこそ、成長が早かったのかなと思います。
『ストラマ』はあえて業界の隅っこに位置することを貫いてきたサロン。「AがダメならBを試そう」というのは、ビジネスでは当然の考え方ですが、僕らはそれをしなかったんです。ずっとAだけ。ですから時代によってマッチしたり、しなかったりの波がありましたが、お金儲け以上に、美容業界に『ストラマ』の存在意義を残したいという思いがありました。時には、めちゃくちゃ痩せ我慢もしましたが、自分を曲げないという思いが芯にあったから、立っていられたのだと思います。
最初の10年ほどは、僕は毎日スタッフを泣かせるくらい厳しかったし、ベテランスタッフは当時を「暗黒時代」と呼ぶほど(笑)。それでも僕の価値観を理解し、仲間でいてくれたタフなスタッフたちに、本当に感謝しています。
心強いベテラン勢と、春宮を中心としたやる気のある若手たちで、今『ストラマ』はとてもいいバランス。スタッフがそれぞれの立ち位置で、やりがいを感じられるような状況をつくっていくことが、これからの僕の責務だと思います。
豊田さんの「未完成」と「違和感」

通常なら見えるはずのない「向こう側」のヘアを使い、ヘッドピースのように装飾(P.008)。フロント側はダメージした地毛の質感を生かし、バックは面を生かした「違和感」作品(P.010)。ウェーブへアの中に巻かない部分を残したり、タイトにまとめた中にドライで生えグセを生かした部分を残した「未完成」作品(P.009、P.011)。
豊田永秀
とよだながひで。『ストラマ』『ザ ストラマ』代表。愛知県出身。中部美容専門学校卒業。愛知県内のサロン1店舗を経て、1995年DaB入社。ヘアショーや撮影など多方面で活躍し、2005年代官山に『ストラマ』を設立。拡張移転を経て、現在は東京・南青山に2店舗を展開。高い審美眼と教育への情熱で業界内でも特異な存在感を放ち続ける。今年創業20周年を迎え、さらなる飛躍を目指す。

集客につながり、若手美容師にも刺さるクリエイションを発信したい。
僕は作品づくりをする際、今まで見てきた豊田の〝クリエイティブ、アバンギャルド〟をリアリティブに落とし込むことを意識しています。僕はクリエイティブが大好きで、『ストラマ』に入社するきっかけとなったのも、業界誌で目にした豊田の作品でした。今、SNSでの集客に時間をとられ、クリエイションをやる美容師が少なくなる中で、一般の人にも刺さりやすいリアリティブ作品を発信し、それが集客につながればベストだなと思うのです。そうなれば、作品づくりに挑戦する美容師も増えるはず。ですからヘアはリアルな視点でかわいく、細部にクリエイティブ要素を取り入れて世界観をつくるのが自分流のやり方になりました。
『ストラマ』に入社してちょうど10年。1年目から「謙虚・感謝・志」というサロンの教訓がしっかり根付いてここまでやってきました。豊田には「高分子吸収体」と形容されるほど素直なヤツだと思われているようですが、その根底にあるのは〝自信のなさ〟だったのだと思います。もともと調子に乗れるようなタイプじゃないので(笑)。未熟な自分にとって、ひとりの美容師、ひとりの人間としての心構えを与えられたのは大きかったです。
豊田はいつも「ちょうどいい」より、一歩上のアドバイスをくれる存在。「これをやればウケはいいけど、ちょっとはずしてここまでやると『ストラマ』の春宮としての印象が残せるよ」と。それが豊田の器の広さ。すべてをやってきたからこその指導だと思います。スタッフたちも、みんなすごく頑張っていますが、決して無理をしている感じはなくて、ごく自然。今頑張ることが、後々楽しさにつながっていくことを、みんな理解しているからでしょうね。
新店舗の『ザ ストラマ』の店長を任されて2年が経ちました。最初は教育や方針について堅く考えていましたが、少しずつ肩の力が抜けてきました。『ストラマ』の社訓「謙虚・感謝・志」の中心にあるのは「愛情」です。サロンへの愛情、スタッフへの愛情、お客さまへの愛情さえ大切にできていれば、あとは楽しく働けることがいちばんだと思えるようになったんです。
個人的な目標は、後退しないこと。去年の自分には絶対に勝ちたい。これ、やればやるほど来年がきつくなるんですけどね(笑)。今年は去年よりかなり前進した自負があるので、来年もその自分を超えていきます。
春宮さんの「未完成」と「違和感」

モチーフは「エデン」。旧約聖書のアダムとイヴの物語を「人として未完成だった二人が、神に逆らってりんごを食べ、人間として完成し、堕落した」と解釈し、そのストーリー性を作品に。生まれたてで悪魔的な要素を隠しきれない堕天使(未完成/P.012、P.014)と、どこか憎めないエルフのような小悪魔(違和感/P.013、P.015)を表現。
春宮雅之
はるみやまさゆき。『ザ ストラマ』店長。長野県出身。名古屋美容専門学校卒業後、新卒で『ストラマ』に入社。繊細なカットや質感にこだわったパーマを持ち味としてファンを増やし、2023年9月、新店舗『ザ ストラマ』のオープンと同時に店長に就任。今年で入社10年。先輩から受け継いだ技術や志を大切にしながら自身の感性と融合させ、後進を育成する新たなリーダーとしてサロンを牽引する。
photo:Umetsu Shota text:PREPPY
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