PREPPY

16 Oct 2025
16 Oct 2025
lifestyle
           

「女性の仕事師」 熊倉早紀さんの美容師人生

入社して6年目、デビュー目前にしてハサミを置き、ケアリストとして新たな美容師人生を歩み始めた『マグノリア』の熊倉早紀さん。その決断の理由や今の働き方、これからの展望をうかがってみた。

美容師になろうと思った時期ときっかけは?

ヘアメイクアップアーティストに憧れて

ヘアメイクアップアーティストになりたくて、美容師の道へ。憧れの気持ちから職業を選んだのですが、地元・栃木県から上京し、専門学校で学ぶうちに、ヘアメイクとして働き続ける不安定さに気づいたんです。それなら、美容師になって、その後にヘアメイクとして独立したほうが、髪が切れるメリットがあると考え、就職活動を始めました。でも、2年生の夏になっても内定が取れずに焦っていたんですよね。バイトはしなきゃいけないし、就職活動もしなきゃダメだし、そんななかで就職面接の準備を万全に行うこともできずに心身共にボロボロになっていたんです。そんなとき、就職ガイダンスのヘアショーで来ていた弊社のDAISUKEが親身になって話を聞いてくれ、こんな懐の広い美容師もいるのだと感動して、『マグノリア』への就職を決めました。

アシスタント時代はどうでした?

カットのカリキュラムがこなせず泣いた日々

『マグノリア』は、外部の撮影の仕事やヘアショーのオファーがとても多いサロンですから、入社したときからヘアメイクの仕事に携わらせていただくことができました。ただ、私は何をするにも器用にできないし、時間がかかる質なんですね。カリキュラムをこなすにも時間がかかるので、カット練習に入るとますますうまくできないことが多くなったんです。ウィッグカットに入り、レイヤーカットが始まるともうダメ。何度挑戦しても合格できなくて……。ちょうどその頃、コンテストに出ている先輩たちに憧れ、ナプラさん主催のドリームプラスコンテストに出場すると、運良く東京エリアのファイナルにまで勝ち進むことができたんです。それで、希望の目もあるんじゃないかとも思ったんですが、サロンワークベースのカットとなると、話しは別。心が折れる毎日でした。

なぜ、ハサミを置く決断をしたの?

自分の得意な分野で仕事をしたいと思ったから

カリキュラムに合格できないことに悩みましたが、美容師を辞めるという選択肢はありませんでした。美容師としてできることをずっと模索していました。そんなとき、先輩から『ケアのほうが向いているんじゃない?』と言われて、ハッとしたんです。アシスタント1年目から店販を売るのが得意だったし、お客さまに名前を覚えていただくことが多かったので、もしかしたら、私が進むべき道はスタイリストじゃないんじゃないかと考えるように。もともと、『マグノリア』全体、ケアの需要が高いんですよ。私も、デビューしたらケアに強いスタイリストになりたいと思い、技術向上に向けて情報を仕入れていましたからね。それで、ハサミを置くべきかどうか悩みに悩んだ末、入社6年目、デビュー目前でしたがハサミを置き、“ケアリスト”になることを決断しました。

今の働き方を教えてください

ケアのスペシャリストはもちろん、耳つぼジュエリーも行う

ケアリストとしていちばんの課題は、売上げをどう上げていくか。最初は、代表の岩上(昌弘さん)のアシスタントにつき、専属アシスタントとして岩上の売上げを上げるお手伝いをしていました。岩上のお客さまは、基本的にお任せがほとんどですし、年齢を重ねたお客さまが多いので、頭皮ケアをはじめ、悩みを解消できるようアドバイスさせていただいておりました。全国で50名ほどしかいないイーラルのスペシャルキュアリストとオージュアソムリエの資格を取り、お客さまそれぞれの悩みに応じたメニューを提案することで売上げを上げることに。しかし、それだけでは弱いので、今年5月頃から耳つぼ施術をスタートし、ほかにも、アイビューティやアイブロウを勉強中。サロンでトータルビューティを提供できるように、自分にできることを始めています。

今後の目標はありますか?

需要の高い仕事、攻めに転じてもっと集客力を上げていきたい

スタイリストがすべてを担当するより、私というスタイリストではない立場の人間がお客さまの側にいることで、より悩みを伝えやすくなると思うんです。同じ人間からすべての話を聞くとお腹いっぱいになってしまいますが、ワンクッションおくと新鮮に話を聞くことができますからね。『マグノリア』の顧客ターゲットは“大人女性”。現在、ケアをご希望のお客さまのオーダー比率は、エイジングケア8割、ブリーチやパーマのダメージケアが2割ですから、サロンとしてもケアリストの存在が重要に。だからこそ、私もやりがいを感じています。ケアリストになって3年。今まで守りの営業でしたが、これからは攻めに転じ、集客力を高めたいと思っています。そのためにも耳つぼやアイビューティ、アイブロウの技術力を高め、SNSでどんどん発信していきたいですね。

Work -熊倉早紀さんのヘア作品-

美容師を目指したきっかけでもあるヘアメイクの仕事はずっと続けており、スタッフがヘア作品をつくるうえで、熊倉さんの技術がとても役立っている。
hair:DAISUKE make-up:Kumakura Saki

こだわりのWORK ITEM

イーラルのスペシャルキュアリスト資格を武器に
ヘアサロン向けのスカルプケアブランド“EraL(イーラル)”のスペシャルキュアリスト資格を取得。ヘッドキュア技術・カウンセリング共に上級レベルの認定証だ。

耳つぼ師に弟子入りして学んだ“耳つぼジュエリー”
100以上あるという耳つぼに、小さなチタンボールをシールで貼ることで体の不調を取り除くという、今話題の施術。耳つぼ師に弟子入りして学び、メニュー化を叶えた。

疲れを癒やしてくれるペットたち
自宅で飼っているペットが日々の癒やしに。写真はアルビノイグアナ。ほかに、トカゲ4匹、ヤモリ1匹、ハリネズミのようなヒメハリテンレックを3匹飼っている。

photo:Yasuda Yuri text:PREPPY

hair carelist

MAGNOLiA 熊倉早紀

くまくらさき。『マグノリア』青山店ヘアケアリスト。スタイリストデビュー目前でハサミを置き、ケアリストに転向。イーラル認定「キュアリスト」のなかでも、全国約50名しか取得していない「スペシャルキュアリスト」資格を有す。山野美容専門学校卒業。

pickup

Featured Articles