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18 Jul 2025
18 Jul 2025
lifestyle

あなたにとって〝美〟とは?連載「美を生きる 。」広告・アパレルブランドのコラボも手がけるアーティスト/デザイナー・Rooo Lou

表現の世界で生きるプロフェッショナル一人ひとりに宿る〝美〟の哲学に迫る。

アーティストに必要なのは、自分を信じる強い覚悟

名前 Rooo Lou ルー
肩書 アーティスト/デザイナー
Instagram@rooo_lou

1988年 大阪府大阪市で誕生。
2006年 高校卒業後、大阪市内ホテルに就職。
2012年 ホテルを退社し、大阪府の職業訓練校でデザインを学ぶ。Webデザイン事務所に入社。
2017年 東京のWebデザイン事務所へ転職。
2018年 SNSにイラスト投稿開始。初の個展開催。
2020年 初の海外個展を開催。アーティストとして独立。

“美”を形にする、5つのヒント
Q1 あなたにとっての“美”とは?

変わらずに在り続ける力。

Q2 仕事で大切にしていることは?
揺るぎない軸をもち続けること。

Q3 創造力の源は?
自らの経験や体験が土台に。

Q4 センスを鍛える方法は?
いろんなものを見る、足を運んで見て、経験する。

Q5 ハマっているモノ・コトは?
釣りにハマりにいっているところ。

美しさとは、「変わらず在ること」
築100年の米蔵に見た、“美”の本質

今回、紹介するのは、『レコ』内田聡一郎さんのインスタアイコンを手がけたことでも知られるアーティスト、Rooo Louさん。さぞやクリエイティビティに富んだキャリアを築いてきたかと思いきや、元はホテルマンだったという。そんなRooo Louさんの〝美〟を聞いてみよう。

ホテルマンからデザイナー
アーティストへ

「高卒での就職先は限られていて、〝ホテルマン〟という言葉の響きに惹かれて大阪の老舗ホテルに就職。6年間働く中で、POP作成などイベント用の掲示物を任される機会があり、楽しかったんです。それをきっかけにデザインを学び、ウェブデザイン会社に転職。その後、自分の力を試したくて、東京のウェブデザイン会社へ。しかし、東京の仕事のレベルの高さに圧倒され、自分の実力不足を痛感したんです。それで、自分だけの武器を求めて子どもの頃から好きだったイラストを描き、インスタに投稿するように。『レコ』内田聡一郎さんのポートレートを描いたのもこの頃。それが、ご本人の目に留まり、『いいっすね』とDMをいただき、それ以降、毎月髪を切ってもらっています。僕としては、美容師さんではなく、某雑誌に〝おしゃれキング〟として登場していた〝おしゃれな人〟を描いたつもり。でも、それをきっかけに、美容師さんのフォロワーが増えました」

「表現しない」
余白に込める〝表現〟の力

「自分に才能があるとは思っていません。だからこそ、ほかとどう差を付けるべきか真剣に考えます。僕の作品は、バストアップ、口はなく、目は点、動きも表情もほとんど描きません。それは、見る人の創造力を掻き立たせる〝余白〟を大切にしたいから。『どう、自分を表現するか?』を考えたとき、ホテルマンとして働いたことも、デザインを学んだことも、日々の生活も含めて僕が経験したことすべてが、今の僕を形成し、イラストの画風となり、余白を生み出しているんですよ」

変わらずに在り続ける〝美〟

「僕にとっての〝美〟は、『変わらずに在り続ける力』。今、茨城県常総市にある築100年の米蔵(写真上)をコミュニティスペースにして、地域振興を促す活動を支援しています。この場所のように、長く続いてきたものに価値や魅力を感じます。〝美〟は一過性の感情では測れません。発表直後は評価されなくても、時を経て価値が見いだされる作品もあります。だからこそ、自分が本当に何をつくりたいのか、自分の〝軸〟をもち続けることが大切です。僕はアーティストであり、デザイナー。仕事ではクライアントの希望を第一にしますが、アーティストとして表現するときは、自分を最大限に出したい。発表しても評価されないこともありますが、それでも〝自分を貫くこと〟が何より大切なんです。とはいえ、僕も強いことはいえません。何度もくじけそうになりましたからね(笑)」
クリエイティビティの本質は自分を表現すること。Rooo Louさんの言葉から、その芯の強さと、表現者としての覚悟が伝わってきた。

Key Item
『レコ』内田聡一郎さんのインスタアイコンを手がける

『レコ』内田さんのインスタアイコンを手がけたのはRooo Louさん。見たことがある人も多いだろう。現在使われているのは二代目だそう。

Memorial Item
築100年の米蔵内のショップ“六(ろく)”

茨城県常総市にあるコミュニティスペースとしても活用できる米蔵「白倉庫」では、不定期でRooo Louさんのアイテム販売が行われる。

Memorial Item
やさしくも力強さのあるシンプルな画風

2020年には、JRや東京メトロで展開された子ども見守りサービス「まもレール」の広告を手がけた。駅構内はもちろん、車内でも目にしたことだろう。

photo:Yasuda Yuri text:PREPPY

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