リアルトレンド大賞2025-2026 Men's PREPPY部門 グランプリ受賞記念作品





過去の憧憬と、青い情熱の先に。

── 今回のテーマ「My Identity is.」に込めた想いからお聞かせください。
「今の自分を形作っているモノたちを表現したいと思いました。指先一つで情報が流れ込んでくる時代だからこそ、『何を選び、何を残すか』という審美眼が問われているように感じています。おしゃれを求めて雑誌を読み漁り、東京を目指し、美容に奮闘してきたこれまでの自分史。自ら足を運び、心を動かされた経験の積み重ねで形成された感性をテーマにしました」
── 都会への憧れが、美容師としての原動力に?
「そうですね、地元である長野から上京したのは、ファッションスナップに惹かれ、そのおしゃれな世界に飛び込みたかったからです。当時、誌面で活躍されていた春宮雅之さん(THE STRAMA)は、ひとつ年上の同郷の先輩。昨年のグランプリ受賞者でもあります。実はリアルトレンド大賞発表の日、春宮さんのもとへ髪を切りに行ったんです。その後に受賞が決まり、直接バトンをいただけたような縁を感じました。同じ長野県から、同じ年齢での受賞ということもあり、勝手ながらシンパシーを感じていました」
── 今作にはどんな思いを込めたんですか?
「月間グランプリと年間グランプリを獲得したときの、僕にとって大切なキーマンである2人のモデルを起用し、表紙のようなインパクトを目指しました。3ページ目は、やっとひとつ得たグランプリというスポットライトが差し込む、地元で悶々としながらもファッションだけは尖っていた自分を投影したようなイメージです。高校時代に死ぬほどバイトして買った一生モノのライダースを着せ、当時の反骨精神と野心を込めました」
── 「青」が印象的な作品がありますね。
「青は初心に帰れる色なんです。アシスタントのとき、成人式のために髪を青くしたいというカラーモデルさんがいました。技術や知識も乏しかったなか、夜通し毛束を作って薬剤の研究をしました。睡眠を削ってでも目の前の一人に真っ向から向き合った経験こそ、僕がお客さまに真剣に向き合いたいと思ったきっかけになった大切な思い出です。受賞作品も青を選びましたが、今回はその記憶を重ね、作品の『サビ』のようなポイントとして配置することにしました。また、パーマスタイルがお客さまや海外の方から支持されているので、デザインに採用しました。韓国の美容師さんから褒めていただくことがあるのですが、『整った美』の韓国に対し、ほつれたときの色気が魅力の『日本の崩しの美学』を表現しました。そのため、スタイリング剤は使用せず、水のみで作っています。ベースであるカットを突き詰めれば、作り込みすぎずとも動いた瞬間にかっこよくなります。『スクリーン』で学んだ確かな技術があるからこそ、生みだせる美の表現だと思っています」
── 5ページ目のクリエイティブ作品は、これまでのイメージを覆す挑戦ですね。
「クリエイティブに強いサロンに所属している以上、挑戦したかったんです。受賞作品で表現した『ハンサム』の要素を反転させ、よりクリエイティブな方向へ振り切りました。これまで先輩のコンテストや、撮影のアシスタント経験で培ったブリーチやデザインカラーへのこだわりを武器に挑戦した作品です。既存の枠をはみ出して挑戦する姿勢から、後輩や見てくださった理美容師のみなさんの心に火をつけたい想いもありました」
── メンズヘアに特化して発信するようになったきっかけは何だったのですか?
「『スクリーン』には、活躍する同世代のスタイリストが多く在籍し、それぞれの強みを模索しています。そのなかで、代表の神谷とkaoriの助言からメンズヘアの奥深さに辿り着きました。銀座のビジネスマンにもフィットする、ファッションを含めた大人の余裕と色気のあるナチュラルなデザインを追求したいと思いました。そして、お客さまのコンプレックスさえも強みに変える、そんな提案を深掘りしていきたいです」
── 最後に今後の展望をお聞かせください。
「美容師に終わりはないので、今回いただいた評価を自信に変えつつ、さらに視野を広げていきたいです。神谷をはじめ先輩方から学んだことは『日常の施術すべてがクリエイション』ということ。特別な場だけではなく、日々の何気ないサロンワークのなかにこそアイデンティティがある。その正解を追い求めながら、お客さまの人生に深く関わっていきたいです」
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SCREEN GINZA MAISON. 鈴木タケル
すずきたける。『スクリーン ギンザ メゾン』スタイリスト。日本美容専門学校卒業。大人のパーマスタイルが得意。趣味は映画鑑賞、自炊料理。
Instagram @screen_takeru