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4 Aug 2025
4 Aug 2025
entertainment

imase、初めての日本武道館公演『imase LIVE “Have a nice day” in NIPPON BUDOKAN』レポート

全世界総再生回数300億超えの新世代アーティストが初の日本武道館で魅せた“imaseワールド”の魅力をレポート!

2020年10月に音楽を始め、2021年5月に初めてTik Tokにオリジナル曲を投稿し、同年12月にメジャーデビューを果たした新世代アーティスト・imase。2022年8月にリリースした「NIGHT DANCER」は韓国の配信サイト“Melon”でJ-POP初のTOP20入りを果たすなど、グローバルな認知度も高い。そんなimaseが、デビュー4年弱でたどり着いた日本武道館。感極まって声に詰まる瞬間もあったほど、彼のキャリアにとって大きなターニングポイントとなった日本武道館公演をレポートする。

バイラルナンバー「NIGHT DANCER」でスタイリッシュな世界観が爆発!

4月19日にスタートしたホールツアー『imase Hall Tour 2025 “Remake”』は、全国9ヵ所をサーキットして6月28日に無事完走。その約1ヵ月後の今日、imaseは日本武道館のステージにたどり着いた。初めて武道館のステージに立つことが決まった時、imaseは「嬉しい気落ちでいっぱいです! 今の自分にできる最高のライブを届けられるよう、僕自身も楽しみながら頑張ります!」とコメントしていた。ツアーでの手応えと武道館に向けた意気込みが実を結ぶ今日この日──。オープニング映像が流れ、客席からは拍手が沸き起こるもそのまま暗転。再び明かりが灯ると、ステージから延びた花道の先に設置されたマニュピレーション機器の前に座るimaseの姿が見えた。ちょっとしたサプライズ登場からの「アナログライフ」で初の武道館公演『imase LIVE “Have a nice day” in NIPPON BUDOKAN』はその幕を開けた。
 この日の武道館は、曲の世界観とシンクロした映像を取り入れた演出で、2曲目に披露したシティポップテイストの「メトロシティ」と共に流れるのは、90年代風のアニメーション。そんな中、ファルセットを多用した独自のボーカルワークで、“今”と“レトロ”が融合した世界観を表現していく。続く3曲目では、BTSのジョングクがWeverseライブで「この曲が好きだ」と公言したことなどから注目を浴び、TikTokでの全世界再生回数が100億回を突破した代表曲「NIGHT DANCER」。この曲が持つ洒落た雰囲気をピンクのスポットライトやレーザー光線が盛り立て、武道館のムードがさらにスタイリッシュに。そんなシティムードは、ラウドな4曲目「LIT」でガラリと雰囲気を変える。「まだまだいけるよね!」とステージを走るimaseは、24歳の若さで音楽活動歴5年ほどながら、自身よりキャリア豊富なバンドメンバーとの息も抜群に、自身のサウンドワールドの舵をしっかり取る。
 そして最初のMC。実はこのステージに立つまで体調が優れなかったことを告白するも、「今日のスローガンはたった一つ。みんなにとって、自分にとっていい1日にすることです。今日という日を、今を最高に生きて、楽しみましょう」と宣言。不調も吹き飛ばして、最高の武道館体験を共に楽しむことを約束してくれた。
 中盤に向かってのセットリストでは、昨年5月にリリースした1st Album『凡才』の収録曲をふんだんに披露。スタイリッシュナンバーからラップ、ファンク調と様々だが、一貫して感じるのは、熱くなりすぎない心地よさ。imase本人はもちろん全力でパフォーマンスしていると思うが、適度なゆるさがあり、それが彼の音楽に浸るいい要素になっている。それでも、ライブは時間の経過とともに熱量がアップ。8曲目「惑星ロマンス」での衣装チェンジを挟み、続く「Nagisa」ではダンサーと共にジャンプ! 「ヒロイン」ではタオルを回すパフォーマンスもあり、ステージと客席の一体感が日本武道館を包み込んだ。

「明日こそはいい1日になったらという希望を持って生きていけたらいいな」imase流のメッセージソングが武道館に染み入る

10曲目「ヒロイン」を終えたimaseは、「今日はスペシャルなことが盛りだくさんですよ。そんな中の一つ、みんなの近くで演奏したいと思います」と言い、花道の先に移動してアコースティックアレンジの「I say bye」「でもね、たまには」を披露。コンパクトなセットに武道館中の視線が集まり、広い空間がキュッと凝縮されたような雰囲気になるが、これは、確かな演奏力と表現力がなければ成り立たない構成だ。アコースティックとはいっても、「ちょっと特別な演奏をします」とimaseが言うように、エレドラと不思議な音色を放つキーボードなど、ひねりのあるサウンドでの演奏。この音色でも成立する歌唱力と表現力を持ちながら、サラリとやり遂げてしまうのもimaseの魅力の一つだ。
 終盤に差しかかる「EGOIST」ではホーンセクションが投入され、サウンドがより一層ゴージャスに。imaseもゴールドのスタジャンを着て、豪華な演奏に負けない存在感を放ちながらクラップを促したりしつつ、楽しさいっぱいの雰囲気を作る。「FRIENDS!!!」ではスクリーンにオーディエンスの姿が映し出されたが、誰もがピカピカの笑顔を浮かべている。そして、ハンバーガーやポテト、シェイクの着ぐるみが登場した「Happy Order?」で大円団を迎えると客席からは「ありがとう! imase!」の声が。そんな中、imaseがメッセージを届ける。
「みなさんのおかげでいい1日になりました。毎日こうしていい1日が送ることができればいいけど、人生そういうわけにもいかない。毎日がいい1日という過ごし方は難しいと思います。でも、それでいい。明日こそはいい1日になったらという希望を持って生きていけたらいいなと思います」

この後、2曲披露したアンコールのうち、本当の最後の曲となったのは、自身の足跡を綴ったという「BONSAI」。「僕は普段自分のことを歌わないのですが、これは、ほぼ始めて今までの自分について書いた曲です。一緒に歌いましょう」と投げかけて始まった演奏は、imaseが音楽家として生きてきたこれまでを編集した映像とともに進んでいく。涙を見せる場面もありはしたけれど、どんな瞬間も自然体。それがimase。
 広い武道館を、そのスケールを生かしながら駆け回りつつ、距離感の近さを見せるマジックも披露したひとときは、彼のこれからがもっといい日になることを予感させてくれた。

写真: Viola Kam[V’z Twinkle]、橋本 優
取材・文:高橋真希子

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