【今月のお悩み】夏にかけたスパイラルパーマ。ゆるく落としてアップデートしたい!
季節が深まる今、サロンでオーダーが急上昇している「パーマ落とし」。今回の相談者もパーマを完全に落とすのでなく、イイ感じにチェンジしたいとリクエスト。絶妙なルーズカールへと変身!
【BEFORE】

【AFTER】絶妙! パーマ落としでつくる「ルーズパーマ」スタイル

相談するのは…春山凛乃介くん(学生)
解決してくれたのは…橋本龍星さん(fifth PARK)

春山くん(以下春山) パーマ、イイ感じに残っているけれど、伸びてきたので変えたくて。
橋本さん(以下橋本) 気分も変えたいですよね。パーマをかけ直すのもアリだけど、ゆるく落として今人気の「ルーズパーマ」にするのはどう? 落としきらずに柔らかいうねりや毛流れを出して、酸性の薬剤を使うので手触りもよくなるよ。
春山 それ、良さそうです。時間はかかりますか?
橋本 ううん、薬剤を塗って放置して流せばOK。残したカールに合わせてカットしていくので1時間半くらいです。
春山 ぜひお願いします!
橋本 春山くんの元のクセ毛を抑えるようにえり足は中性の薬を使って、表面は酸性の薬で柔らかいカールを残すようにしますね。内側の膨らみが落ち着くとスタイリングも簡単です。
春山 へえ、ただ落とすんじゃなくて色々できるんですね。あまり真っ直ぐになるのは避けたいと思っていたので、安心。
橋本 さらにカットで溜まりを取ると表面の毛束を動かしやすくなる。明日から快適だよ。

橋本龍星さんのお悩み解決テクニックを解説!
BEFORE
夏にスパイラルパーマをかけて数ヶ月が経過。髪が伸びてハチの張りとえり足の膨らみが目立ってきた。パーマの繰り返しによるダメージも見られる。




パーマ落とし(1剤塗布〜中間水洗)

ウェットにするとこの状態。毛先はスパイラルのリッジ感がきれいに残っているが、根元は伸びてきているのがわかる。

今回は極力ダメージレスなレシピで行う。前処理で低分子ケラチンとCMCを補った後、ストレート剤を塗布。システアミンベースのマイルドなタイプを選び、写真上は酸性、下は中性(えり足のみ使用。
〈使用薬剤〉フィヨーレ BLストレートAc / フィヨーレ BLストレートFSc

えり足から塗布。元々の膨らむクセが強いため、中性の薬剤を使用する。毛先はダメージがあるため、外しておく。

えり足4線目まで同様に進んだら、ヘムラインをチェック。ここは正面から見た時のスタイルのフォルムになる部分。丁寧にチェックする。

ミドルセクションから上はすべて酸性の薬剤を使用。横スライスでスピーディなリズムで塗布。横スライスで塗り終えたら、バイアスに取り直してチェックする。


チェックを終えたら、一度、軟化具合をテスト。コーミングすると真っ直ぐになるが、軽く指ではじいて見ると、まだリッジが出ているのがわかる。

表面は動きを残したいので外し、ミドルセクションのみ塗布量を少し多めにする。このセクションが落ち着くと、上にかぶさる髪の遊びがよりきれいに生かされる。

外しておいたえり足の毛先に酸性の薬剤を塗布。最後に塗ってすぐに流すことで、えり足のハネ感を程よく残す。

最初の中性の薬剤を塗り始めてから約10分で、中間水洗。毛先の柔らかい動きは残しつつ、ボリュームはダウン。カットはこれからだが、だいぶ落ち着いたのがわかる。
CUT

アウトラインを整える。上の写真の通り、バングは黒目の内側の幅で整え、サイドはやや前下がりのラインにする。さらにサイドを切り返して毛流れを。ヘムラインも毛先を整える。



ミドルは重さを残しつつ、不要な溜まりを取りたい。グラの角度で引き出し、パネルをたわませてレイヤー状にして、飛び出る角を落とす。

トップとミドルの間に出てくる角をチェック。チョップカットで軽さを入れて、この後のセニングの削ぎを極力少なくする。

ウェットのままセニングで量感調整。ベースカットと連動させてえり足から。目で見てブラントさが残る部分に刃先を入れて間引く。順に進み、膨らみやすいハチまわりは根元寄りの中間部分に行う。
パーマ落とし(2剤塗布〜流し)

カット終了後、2剤塗布。中間水洗後、カットしてそのまま2剤を塗布することでシャンプーの回数を少なく、施術時間の短縮につながる。2剤はブロム酸で10分放置。

中間水洗後の状態から、より軽さが出たのがわかる。そのため、カール感も柔らかくなっている。アウトライン、ウェイトラインを整えたことで、伸びてぼやけていたシルエットが引き締まった。
FINSH
根元を8割がたドライし、柔らかいテクスチャーのワックスをジェルと混ぜて全体になじませる。ボリュームが欲しいところは残したパーマの質感をもみ込むようにして出し、抑える部分は軽く抑えて完成。今回はジェルも使ってウェッティな質感でパーマをきれいに表現。スタイリング剤、残したリッジの出し方でアレンジを楽しめるのも魅力だ。




【WHAT’S パーマ落としでつくる「ルーズパーマ」とは?】
強いリッジ感から柔らかいカールへ。パーマ落としでつくる「ルーズパーマ」という、新たな流れが生まれている。
「今回の提案もそうですが、パーマの繰り返しでダメージが気になるし、気分も変えたいという時にぴったり。丁寧に前処理を行い、ごく優しい薬剤を使うことで髪のコンディションも良くなります。真っ直ぐ伸ばすとなるとある程度薬剤のパワーが必要ですが、ゆるく残すのを狙うため、髪に負担が少なくてすみます。それでいて流行りの『ルーズカール』が楽しめるので人気がありますね」
パーマを落とし過ぎず、適度にリッジを残す。それには薬剤の塗り分けもポイント。
「塗り終えたら、一度必ずテストします。軟化の具合を見て、もし必要があれば再塗布を。今回は表面の動きを生かすよう、ミドルはもう少し伸ばしてもいいと思ったので塗布量を増やしました。また、えり足は毛先のハネは残したいという希望だったので、元々の生えグセを抑えるように中間のみ中性の薬剤で伸ばし、毛先のハネる動きを引き立てています」
全頭均一に伸ばすのではなく、適材適所で薬剤をかえ、塗布量をかえてコントロールする。パーマという足し算のデザインを、引き算で考えていく面白さ。今後もますます注目されること、間違いない。
今回レクチャーしてくれたのは……「fifth PARK」橋本龍星さん

はしもとりゅうせい。『フィフス パーク』ブランドマネージャー。山野美容専門学校卒業。波巻き、スパイラル、シャドウパーマなど幅広く得意とするオールラウンダー。土台となるカットにもこだわりアリ。@hsm10
【DATA】
fifth PARK
東京都渋谷区神宮前6-17-10 原宿アール3F
TEL/03-6427-1307
営業時間/平日11:00-21:00、土10:00-20:00(日祝-19:00)
fifth group official
photo: Koda Toshimitsu text: Sugiura Akiko
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