『THE STRAMA』をリーダーとして牽引し、エッジの効いたクリエイションで業界の注目を集め続ける春宮雅之。初のPREPPY単独表紙巻頭のテーマは「CLARITY(透明度)」。サロンワークとクリエイション、メンズとレディース――相反する要素を軽やかに行き来しながら本質を磨き続ける彼が、現在地とこれからの10年に見据える未来を語る。
photo: Matsuyama Yusuke(chiyoda-studio) outfit: Kawakami Maruri makeup: Adachi Yui text: PREPPY







Interview
CLARITY 10年の結晶

Profile
THE STRAMA 春宮雅之
はるみやまさゆき。『ザ・ストラマ』店長。名古屋美容専門学校卒業。繊細なカットや質感にこだわったパーマを持ち味にコンテストや撮影での結果を残しながら、後進を育成する新たなリーダーとしてサロンを牽引する存在となっている。
ふたつの要素の対比があるからこそ、
デザインに深みが生まれるんです。
『クラリカ』の原点と向き合い、本質を磨き続けた10年
――今回の巻頭での撮影テーマは「CLARITY(クラリティ)」。まずはこの言葉に込めた想いから聞かせてください。
春宮雅之(以下春宮) 僕が入社した当初、サロンの名前は『クラリカ&ストラマ』でした。その『クラリカ』という名前の由来のひとつに、ダイヤモンドの評価基準である4Cの『クラリティ(透明度)』があったんです。サロンで働くスタッフ一人ひとりがダイヤモンドの原石なんだ、という意味が込められていたんです。そこから入社して丸10年が経ちました。自分自身、まだまだ道半ばではあるんですけど、この10年で磨かれてきて、今表現できる自分のダイヤモンドを形にしたかった。その想いと原点への敬意を込めて、このテーマで表現しました。
――10年の月日の中で、美容師として、ひとりの人間として磨かれた部分は何でしょうか。
春宮 「本質を磨くこと」ですね。僕たちの世代はどうしてもSNSでの発信や集客が中心になりがちで、バズることや新規のお客さまを呼ぶことに目が行きやすいと思うんです。でも僕が大切にしてきたのは、そういう表面的なことや特化した技術だけではなくて、いちばんベーシックな土台の部分。パーマを売りにしつつも、ベースとしてすべての技術が高い水準でできること。なかでもカットに関しては、この10年でしっかり自信を持って切れるようになりました。素材力というか、いちばんベーシックな本質こそが今の僕のクリエイションの土台になっています。そして、すべての答えはサロンワークの中にあると思っています。サロンでの売上げや技術力という本質があるからこそ、派生してクリエイションやコンテストにも挑戦できている。そこが10年でいちばん磨かれた部分かなと思います。
――20歳で上京した青年が30歳を迎えて、内面的な変化も大きかったのではないですか?
春宮 背負うものが本当に増えました。今は新店舗の『THE STRAMA』で店長を務めていますし、サロンの若手を引っ張っていく立ち位置になりました。20歳で東京に出てきたときは、とにかく自分が活躍したいという気持ちばかりだったんです。でも今は、STRAMAのみんなを引っ張りながら、後輩たちが活躍できる道を作っていきたいという気持ちに変わりました。自分のため以上に、人のために動くことのほうが圧倒的に増えた。そこが人間として成長した部分だと思います。
対比があるから深みが増す。
CLARITYと
CARATが宿すエッジ
――今回は「CLARITY」と「CARAT(カラット)」という対照的なアプローチで、モデル3人を各2スタイル、計6スタイル制作されました。
春宮 ダイヤモンドの重さを意味する『CARAT』と、透明度を意味する評価基準である『CLARITY』。シルバー調の冷たく研ぎ澄まされた質感と、光を反射する重厚な強さ。光と影、あるいは陽と陰のように、対比となる2つの要素をぶつけ合いました。撮影中にもリアルカットを入れてその場で切りながらスタイリングしていったんですが、予定調和が絶対にできないライブ感のある現場でしたね。ライティングに合わせて、ショートの残す部分と切り落とす部分のバランスを現場で見極めながらつくっていきました。
――春宮さんの作品を見ていると、メンズとレディース、サロンワークとクリエイションなど、相反するふたつの要素を対比させる表現が際立ちます。
春宮 言われてみるとそうですね。二面性だったり、光と影だったり。世の中にあるものって絶対にひとつだけでは存在しなくて、すべてに対比があると思っているんです。その対比があることを理解しているからこそ、今目の前にある言葉やデザイン、立ち振る舞いに深みが出てくるんじゃないでしょうか。たとえばメンズとレディースにしても、「レディースしかできないからメンズのお客さまが来られたときに提案できない」とか、「メンズばかりやっていてレディースのお客さまの要望に応えられない」というのは、美容師の本質ではないと思うんです。だからこそ僕はどちらも高い次元で行き来したい。それはふだんの生き方でも同じで、すごく辛いことがあったとしても、そのあとには絶対に同じくらいの楽しいことが待っているはずだと信じているところがあるんです。天秤のように、人生は山あり谷ありで最後にはきちんと帳尻が合う。物事には必ず対比があるという感覚が僕の根底にあるからこそ、自然と作品のテーマとしても対比を形にすることが多いのかもしれません。
止まる選択肢はない。
クリエイションとサロン
ワークを次世代の文化へ
――プレイヤーとして走り続けられる、春宮さんの原動力はどこにあるのでしょうか。
春宮 立場や背負うものもありますが、本当の意味での原動力は「自分に満足できないこと」なんです。業界の第一線で活躍されている素晴らしい先輩方とお仕事を共にする機会が多くあるのですが、そのたびに先輩方の人間力やデザイン力の高さに圧倒されて、本気で尊敬させられます。そうした本物の姿を間近で目にするたび、自分なんてまだまだ未熟だなと感じさせられるんですよね。だから、「成長しなきゃ」というよりも、立ち止まるという選択肢が僕の中にはないんです。過去を振り返れば「いい作品が作れたな」「少しは成長できたかな」と思える瞬間もあります。でも、それと同時に次の課題がいくつも生まれてくる。だからこそ変に自信を持ちすぎることなく、もっと上を目指したいという欲が湧き上がってくるんだと思います。
――美容師人生10年を経て30代に入りました。これからの10年で挑戦したいビジョンを教えてください。
春宮 ちょうど僕たちの世代から、SNSの普及も含めて美容業界の環境が大きく変わりました。クリエイションに取り組む人が少なくなったり、美容師が憧れる姿や求められる価値観も変化しています。でも僕は、サロンワークを絶対的な基盤にしつつ、クリエイションに向き合い続けることが美容師としてものすごく大切だと信じています。だからこそ、自店の後輩はもちろん、これからの美容業界を担う下の世代にその意義を伝えていける存在になりたいですね。サロンワークとクリエイションの両軸を高いレベルで突き詰める生き方そのものが、美容業界の中でひとつの文化として根づいていくような、そんな姿を見せていきたいと思っています。


ショートウルフをベースに、CARATはリーゼント風のシルエットをウェットでつくり込みつつ、尖ったラインがおしゃれになじむ質感に。CLARITYはスタイリング剤を排し、風を受けたような自然な毛流れで澄んだ透明度を表現した。
Model 01:アイリン[CLARITY / CARAT]


レイヤーミディアムをベースに、肌の透け感と毛量のバランスを綿密に調整。極端なスタイリングに頼るのではなく、日常のデザインからわずかなチェンジでモードへと引き上げた。CLARITYはノースタイリングで素材本来の魅力を生かした。
Model 02:ジジ[CLARITY / CARAT]


モデルが持つオリエンタルな雰囲気に寄り添い、自然にフィットさせながらモード感をプラスしたショートレイヤー。撮影のライティングを計算してリアルカットを施し、残す部分と切り落とす部分の均衡を即興で見極め、潔いエッジを引き出した。
Model 03:ノン[CLARITY / CARAT]
P11 イヤリング¥8,800、リングチェーン3連ネックレス¥19,800、粒チェーン連ネックレス¥33,000(すべてアビステ)
P13 ラインストーンチョーカー¥43,560(imac)、上に重ねたチェーンネックレス¥12,100(アビステ)
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