PREPPY2025年11月号連動
クリエイティブなブランドサロンとして名高い『Null(ヌル)』オリジナルのテクニック。「いつもと違う」が手軽に叶う、カラー技術“スラッシュカラー”を、若手クリエイターのひとり、AYATOさんから学ぶ3回連載企画がスタートします!
髪に動きをつけ、骨格補正も叶う“スラッシュカラー”

「“スラッシュカラー” は、さまざまなシーンで活用できる便利なテクニック。レイヤーの入ったヘアスタイルなら、髪の動きで色をより楽しめるし、動きのないボブスタイルなら、カラーが髪に動きをつけてくれます。また、ヘアスタイルとカラーを連動できるので、色を入れる場所次第で骨格補正を行うことも。もっと簡単に、利き顔にアクセサリー感覚で色を入れるのもいいですね。そう、決まりごとはありません。自由にカラーデザインを楽しめる、それが“スラッシュカラー” なのです」
[Point.1]ベースカラーに自然になじむからテク要らず

セクションカラーは根元から薬剤を塗布するため、デザインっぽさが強く出てしまいますが、“スラッシ
ュカラー” は、カラー剤の塗り始めをぼかすので、ベースカラーに自然になじむのが大きな特徴。ポ
イントで入れるため施術時間が短く、塩基性カラーを使用すれば、色落ちも早く、簡単にカラーチ
ェンジも叶います。
[Point.2]施術時間は、シャンプーからドライまで約50分

(左)細めの毛束を取り出し、パネルの裏側からカラー剤を塗布することで塗り始めにグラデーションがつき、自然なぼかしになります。
(中)さらに、カラー剤塗り始めの部分をハケでぼかせば、よりベースカラーになじむように。
(右)顔まわり4 カ所(片サイド2 カ所ずつ)、前髪1 カ所、バック2カ所にスラッシュカラーを入れていきます。
BEFORE

〈シンプルなブロンドベージュ〉
20 日前にカラーしたばかり。ベースを18 レベルに整えたブロンドベージュ。あごラインのボブ、レイヤーは入っていない。
AFTER

〈簡単施術でデザインカラーが叶う〉
使用薬剤は、資生堂プロフェッショナル「カラーミューズ」のカラークリーム、レッドを単品で使用。
動画でチェック①!
『ヌル』が考案した“スラッシュカラー”。ポイントでデザインを入れるため、アクセサリー感覚でデザ
インカラーを楽しむことができます。
PROCESS

(左から)
①「1.右サイド」。まずは、デザインを印象づける顔まわりからスタート。デザインが欲しい場所から、二等辺三角形でパネルを取る。
②二等辺三角形の頂点から少しだけ髪を外すと台形のような形に。この外した部分がカラー部にのり、カバーリングとなることで自然なぼかしが可能。
③パネルを反対側に倒す。

(左から)
④ホイルにのせて、パネルの裏側からカラー剤を塗布することで、髪を下ろしたとき、塗り始めの部分にグラデーションでカラー剤がのり、より自然なぼかしが可能。欲しいデザイン次第ですが、今回は根元2~3㎝から塗り始め、一発塗りとなるため、塗りムラが出ないように毛先までしっかり塗布します。
⑤ハケの毛先を使い、塗り始めをぼかすことで、より自然ななじみが叶います。
⑥ホイルをたたみます。

(左上から)
⑦「2.前髪」。同じように、二等辺三角形のパネルを取り、頂点を外します。
⑧「3.左サイド」。前髪のカラーとなじませたいので、一線開けて、サイドからパネルを取ります。
⑨「4.右サイド」。先に入れたパネルと少し離した位置からパネルを取りだして。
⑩「5.左サイド」。顔まわりのバランスを考え、最初のパネルと高さを変えて、パネルを取ります。また、前髪とサイドは毛先までカラー剤を塗布してください。

(左から)
⑪「6.バック」。バックは面でしっかり見せたいので、横スライスで広めにパネルを取ります。
⑫骨格に合わせて塗布すれば、よりカラーが自然になじみます。半円状にパネルを取るのがポイント。
⑬パネルを上に引き上げます。

(左から)
⑭バックは面が広い分、カラーが目立ってしまうので、中間だけにカラー剤を塗布。髪が落ちるポイントでノイズのように色が広がります。
⑮カラー剤が毛先につかないように、毛先を外してホイルをたたんで。

(左から)
⑯「7.バック」。バックは面が広いのでもう1パネル、ポイントを。半円状に塗布した「6.バック」のパネルと高さをずらし、底辺の広い二等辺三角形を取れば、デザインが広がり、より華やかに見えます。
⑰同様に、二等辺三角形の頂点を外し、裏側からカラー剤を塗布。毛先を外すのがポイントです。

全7箇所のポイントカラーでおしゃれなデザインカラーの出来上がり!
動画でチェック②!
FINISH

難しい塗り分けは不要! 手軽に短時間でデザインカラーが楽しめる“スラッシュカラー”。お客さまにとっても、スタイリストにとっても使い勝手のよいテクニックですね。
今回レクチャーして下さったのは……
「Null」AYATOさん

あやと。『ヌル』取締役/サロンマネージャー。旭美容専門学校卒業。英国仕込みのカット技術と理論化されたデザインカラーを組み合わせたヘアデザインを得意とする。Instagram @ayato.null