幅広い世代の女性や美意識の高い男性など数多くのお客さまから高く支持され、美容師さんからも注目を集める伊佐治さん。上京後、カラリストとして確固たる地位を築くまでには、さまざまな努力がありました。
美容師になろうと思ったきっかけは?
もともと好きだった「色」で勝負するカラリストに
美容師を明確に目指していたわけではなく、美容に携わる仕事がしたい、資格がある仕事がしたいと思い、美容学校に進学して美容師免許を取ることにしました。「人の髪を切りたい」という思いが根底にあったわけではないので、就職先を考えていたときにカラリストという美容師でありながらハサミを持たない選択もできる『ブランコ』を知り、入社することに。カラリストは他の人があまりやっていなさそうでしたし、色にはもともと興味があったので、とてもおもしろそうだと思いました。名古屋栄店に配属となり、カットやパーマなどをひと通り学んだ後、カラリストを目指すカリキュラムへと進んだのですが、ウィービングに苦戦。ウィービングはパーマで言えばワインディングのようなものですが、テストになかなか合格できなくて苦労しました。
なぜ東京の店舗に異動した?
恵まれた環境から飛び出し、上を目指したかった
何十人ものモデルをカラーし、オーディションを受けて、晴れてカラリストデビューになるのですが、モデルは同世代の友人だけではダメ。友人のお母さんにも協力してもらい、白髪染めにも対応できる技術を身につけました。休みの日もサロンに出てモデルと向き合う日々を続け、入社から2年半でデビュー。当時、カラーブームだったこと、『ブランコ』自体の集客力が高かったことなどが重なり、デビューから3カ月目には100万円を売上げるまでになりました。順調にキャリアを重ねましたが6年が経った頃、恵まれた環境に慣れ、今の自分に満足してしまって……。もっとうまくなりたい、もっといろいろな仕事がしたいと思い、東京の店舗への異動希望を出しました。社内調整が大変だったと思いますが、会社が私の気持ちを汲んでチャンスをくれたんです。
コンテストに挑むようになったきっかけは?
東京で結果が出ず、自分の価値を高めるために挑戦
入社7年目に東京・青山店へと異動し、ゼロから集客をスタート。SNSや集客サイトが当たり前になかったため、休日や営業中の空き時間に渋谷や原宿へハントに行き、名刺を配り続けました。それでも最初はお客さまが増えず、せっかく東京に来たのに結果が残せず辛かったです。そこで、自分の価値を高め、認めてもらうために何か結果を残さなければと、コンテストに挑むことを決意。トレンドビジョンでの優勝、JHAエリアファイナリストのノミネート、さらにはインターナショナル ヴィジョナリー アワード※というロンドンで開催されるコンテストに日本代表として出場。それと並行するようにお客さまが増え、セミナー講師やヘアショーの仕事も増えました。コンテストのために練習したり考えたりしたことが技術力向上のきっかけになったのだと思います。
サロンワークで大切にしていることは?
お客さまの固定概念を覆すような提案を大切に
サロンワークではカッターとペアを組んでお客さまを担当するのですが、私の場合は同期入社の馬渡(馬渡さやかさん)と組むことが多いです。大切にしているのは、いつも同じ提案をしないこと。前回のカラーが気に入っているから同じで、というオーダーでも、あえて少し違う提案をしてみます。もちろん決めるのはお客さまですが、カラーを楽しんでほしいんです。自分がふだん選ばない色にしてみたら周りから褒められたという方もいて、お客さまの固定概念を覆すような提案が大事だなと感じています。希望の色味を画像で見せていただくことも多いのですが、それが必ずしも似合うとは限りません。どうしてもこの色にしたいのか、この雰囲気が好きなのか。髪の状態やライフスタイル、ご希望を加味した上で似合わせていくことを大切にしています。
今後の目標を教えてください
負担なくカラーが続けられる提案をしていきたい
現在はクリエイティブカラーディレクターとして後進の育成の他、カリキュラムや教え方のブラッシュアップなどもやらせていただいています。また、3カ月に1回は名古屋栄店に1週間行き、スタッフとコミュニケーションを取ったりお客さまを担当したりしています。名古屋栄店でアシスタントをしていた頃の私を覚えていてくださるお客さまもいて、本当にうれしい限りです。今後は、引き続き旬を捉えつつ、負担なくカラーが続けられるような提案をしていきたいですね。カラリストは希少価値のある職種だと思うので、それが継続できるような環境作りにも尽力したいです。カラー剤の進化は目覚ましく、この先もさらに進化し、トレンドも変わっていくでしょう。時代の変化に常に敏感に、最良の提案ができるカラリストでありたいと思っています。
Work -伊佐治さんのヘア作品-

タイ北部などの山岳地帯に暮らす少数民族「モン族」がテーマ。色鮮やかな刺繍衣装を身に付け、衣装に合わせたカラーを施している。「民族が持つ色彩感覚は興味深いですね。ついつい民族衣装を集めがちです」
※受賞歴の詳細
2012年 ウエラ トレンドビジョン、ヤングタレントアワード ゴールドアワード
2013年 ウエラ トレンドビジョン、カラーアワード シルバーアワード
2015年 インターナショナル ヴィジョナリー アワード ノミネート
2016年 JHA エリアファイナリスト
こだわりのWORK ITEM

サロンワークの日も休日もつけています!
スペイン在住で知人でもあるデザイナーが展開するブランド「moil」(モイル)のアクセサリーがお気に入り。「少しずつ購入して、だいぶ増えてきました!」

カラー施術に欠かせないアイテム
カラリスト七つ道具がこちら。ブルベ・イエベに分けられたカラーチャートや、クシ付きヘアクリップ、シングルピンより大きいクリップなど、伊佐治さんの相棒たち。

健康維持の源とも言えるドリンク
溶かして飲むタイプのビタミン含有保健薬「若甦温」。「風邪を引きそうな予感がするときや疲れが溜まったときにサロン近くにある薬局で購入し、よく飲んでいます」
text:Morinaga Yasue photo:Yamazaki Mitsuru