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8 Mar 2026
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8 Mar 2026
lifestyle

「美を生きる 。」カメラマン・多摩川ごみ拾いイベント「PLUSTIKOS」主宰/国府田利光

表現の世界で生きるプロフェッショナル一人ひとりに宿るの哲学に迫る。

自然界にある規則性、
曲線の美しさを感じて

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Profile
名前 国府田利光 こうだとしみつ
肩書 カメラマン/多摩川ごみ拾いイベント「PLUSTIKOS」主宰
Instagram @toshimitsu_koda

History
1978年 栃木県真岡市で誕生。カメラメーカーに勤める父の影響でカメラに興味をもつ。
1996年 大学(商学部)入学。
2000年 大学卒業後、都内の写真スタジオに就職。
2004年 フリーランスのフォトグラファーに。
2019年 スコットランドの浜辺に打ち上げられたクジラのニュースを知る。
2022年 ごみ拾いスタート。ごみを使った作品撮りを行う。
2023年 ごみ拾いイベント「PLUSTIKOS」開始。ごみアートの個展初開催。
2024年 ごみを使ったワークショップ開催。個展はすでに5回開催。
2026年 人物撮影多めのフォトグラファーとして活動しながら、のんびり環境活動に勤しんでいる。

を形にする、5つのヒント
Q1 あなたにとってのとは?

自然の造形など、なるべくして成ったもの。

Q2 仕事で大切にしていることは?
求められていることへの理解を深めること。

Q3 創造力の源は?
考え続けること。伝えたいと思うこと。

Q4 センスを鍛える方法は?
表現したいことを見つけて、そのことをずっと考え続けていると、必要な知識が集まってくる。

Q5 ハマっているモノ・コトは?
息子とのランニングやサッカー練習。

ごみ拾いで変化した美意識
ごみの存在に違和感を感じ、
より自然なものに美しさを見いだす

環境意識が高まる今、「トラッシュアート」という表現方法が注目を集めている。ごみを新しい視点で表現する芸術的アプローチだ。当誌でも撮影を担うカメラマン、国府田利光さんもトラッシュアートに取り組むひとりだ。

大好きなクジラの胃袋から出てきた大量のごみ

「子どもの頃、クジラが大好きだったんです。男の子って単純だから、大きいというだけで『かっこいい!』と思うじゃないですか。そんなクジラの死骸が、スコットランドの浜辺に打ち上げられ、胃袋から100㎏ものごみが出てきたというニュースを見たんです。それがとてもショックで、いても立ってもいられなくなり、東京・多摩川の河川敷でごみ拾いを始めました。多摩川って、遠目に見るときれいに見えるんですが、草むらをのぞくと、ペットボトルやお菓子の袋など意外とごみが落ちてるんですよ。30分ほどでこの青いバッグがいっぱいになりますからね。その多くがプラスチックごみ。ひとりで集められるごみは微々たるものですが、何もしないよりはいい。そう思って拾い続けるうちに、仲間や河川敷の近くに住む親子が手伝ってくれるなど、少しずつ輪が広がっていきました。集めたごみは分別して行政に引き取ってもらいます。
僕は、『ごみを出すな』とか、『環境を破壊するな』と説教したいわけじゃないんです。ほんの少しごみに意識を向けてもらえたら、それだけで十分。僕自身、クジラのニュースを見てから、ごみを出さない生活を心がけるようになりましたからね」

ごみをモチーフに作品撮りを始める

「僕はカメラマンですから、どんなものでも被写体として見てしまいます。最初、集めたごみを撮影していたのですが、どうしても環境問題へのメッセージ性が強く出てしまい、僕が求めるものとはちょっと違うと感じたんです。だから、写真作品としての“美しさ”を意識するように。色鮮やかな花とごみを組み合わせ、ごみを被写体にしつつ、花が生き生きと見えるように絵づくりを行うと自分らしさを出せるようになりました。最近は、色を抑えて金属ごみと枯れ木など、茶色く変色した同色の素材を組み合わせた絵づくりに挑戦しています。ただ、長年、プロとして写真を撮ってきたため、きれいを追求する一方、きれいすぎたり、くずしが足りなかったり、アート的視点と商業的視点との狭間に悩むなど、カメラマンとしての変化も感じ始めています」

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河川敷のごみ拾いが美意識に変化を

「ごみ拾いを始めて、自然に対する見方が変わりました。自然のなかで人が生み出すごみは違和感でしかないんですよ。だから、自然界の不規則性の中の規則性や、自然な曲線に美しさを感じるようになりました。また、この美意識が、カメラマンとして“違和感のないくずし方”の追求につながるなど、ごみ拾いをきっかけに、今新たな美意識が生まれていることに自分自身驚いています(笑)」
クジラのニュースから始まった行動がプロカメラマンの美意識を変えた。国府田さんのトラッシュアートは、見る人の心に「“美”とは?」と、問いかけているのかもしれない。

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My Activity
仲間とごみ拾いイベントを開催

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ごみ拾いを行うようになり、多摩川ごみ拾い団体「PLUSTIKOS」を主宰。不定期開催でごみ拾いを行い、ごみは分別して行政に引き取ってもらっている。

My Activity
子ども向けのワークショップも

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河川敷で集めたごみを使ったワークショップを開催。廃材と河川敷で拾ったプラスチックで作品をつくるというイベント。行政やメーカーからの依頼も多い。

My Work
ごみと向き合い変化した美意識

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トラッシュアートを制作するなか、自身の美意識に変化が生まれたそう。きれいな色を使っていた作品づくりが、色のない作品に魅力を感じるように。

photo:Yasuda Yuri text:PREPPY

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