真っ青な空と美しい自然が魅力の沖縄県。コンテストやセミナーの多くが東名阪や九州で開催される現状を考えると、決して創作活動が行いやすい環境ではないが、それでも高い熱量で撮影に臨む4名の作品を紹介する。
Pick up1

theme-1:ガジュマル
「うまくなりたいという気持ちはありますが、それよりも楽しみたいという気持ちでクリエイションを始めました。『こんなことをやったらおもしろそう』という好奇心をテーマにすることが多いですね。この作品は、沖縄の精霊キジムナーが宿るとされる木“ガジュマル”がテーマ。いちばんのこだわりはリアリティさ。実際にガジュマルから垂れているツルを使い、髪の毛を編み込み、木の幹を表現。木の生命力の強さをモデルの目力で表現したのもポイントです」
photo:Kinjo Anna(Hair&Make EARTH) make-up:Tomori Yurie(Hair&Make EARTH)

theme-2:devil
「表現したいものを形にするのは難しい。でも、好奇心を武器に、常識に縛られず、自分なりの表現を行っていきたいと思っています。こちらのテーマは“デビル”。お団子をつくって、その上にすき毛をかぶせ、悪魔の耳を表現しました。地毛とすき毛の質感がまったく異なるので、それをいかになじませるかが難しいポイントでした。すき毛の下から地毛が見えると被った感が強くなるし、色がないのでぺたっと平面に見えるため、透かし具合を絶妙にコントロールしています」
photo:Kinjo Anna(Hair&Make EARTH) make-up:Nakandakari Riko(Hair&Make EARTH)

SALON:Hair&Make EARTH(沖縄県豊見城市)
NAME:金城杏奈
美容師歴:5年 クリエイション歴:1年
きんじょうあんな。『ヘアメイク アース』豊崎店スタイリスト。専修学校ビューティーモードカレッジ卒業。普段のサロンワークではお客さま一人ひとりの悩みを引き出し、寄り添える美容師を目指す。Instagram @anko_earth
Pick up2

theme-1:Conflicting~相反する
「ヘアショーブームだった90年代、『MINX』さんのヘアショーに感銘を受け、クリエイションを始めました。当時、沖縄でクリエイションを行っている人は多くありませんでしたが、毎月撮影会を設け、少しずつ表現力を身につけていきました。こちらは、顔まわりに自然にかかるリッジ感のあるウェーブのエッジーさとマニッシュな衣装のクラシックなムード、ウェットとドライ、カールとストレート、相反するさまざまな要素を共存させました。ウェーブの動きが色彩のコントラストを高め、ぐっと奥行きが際立つように見せています」
photo:MAKOTO NAKASONE(macoty) make-up:OMU(MIMU de HOMME)

theme-2:光と影の境界
「影のなかに、部分的に髪を浮かび上がらせ、髪の存在感を削ぎ落としながら、ブレを効果的に用い、“余韻”を残すような演出にしています。モノクロ表現のなかには、光に触れる部分と影に沈む部分の両方がありますが、ヘア、衣装、背景のすべてにおいて陰影のバランスをうまく生かすことができたと思っています。しかし、ブレのある絵づくりは誰もが憧れるところ。ブレた写真を撮りたくて、わざとブレを狙って撮ったのですが、ブレていないクリアな写真もいい感じに撮れており、実はどちらを選ぶかとても悩みました(笑)」
photo:MAKOTO NAKASONE(macoty) make-up:OMU(MIMU de HOMME)

SALON:MIMU de HOMME(沖縄県那覇市)
NAME:OMU
美容師歴:44年 クリエイション歴:33年
オム。『ミムデオム』代表取締役。琉球美容専門学校卒業。沖縄でヘアショーを開いた立役者。世界初となる“洞窟ヘアショー”を開催するなど、沖縄の美容文化を牽引する。
Instagram @omu.omu
Pick up3

theme-1:太陽をまとう
「女性の内面の美しさを引き出した作品をつくりたかったんです。毛先のハネが動いているのか、止まっているのか、風を感じるヘアデザイン。モデルさんは、サーフィンが趣味のアクティブな方。そんな彼女の内面の柔らかさを表現しています。美容師歴5年ですが、8年ほど美容師を離れていた期間があるんです。出身は秋田で、10年前に沖縄に移住。5年前に美容師復帰し、2年前にスタイリストデビュー。その頃からオーナーの影響で、クリエイションを始めました。紆余曲折ありましたが、改めて今、美容師のおもしろさを感じています」
photo:Ito Shonosuke(début) make-up:Yoshida Saki(Chou Chou)

theme-2:parallel me
「モデルさんは鏡をのぞいているんですが、写真を見ている人は、鏡のなかのモデルさんと目が合うように絵づくりを。実際の彼女は自信なげな表情なんですが、鏡に映る彼女は強さを感じさせる……そんな女性の心を鏡を使って対比的に見せています。鏡に水を張り、撮影していたのですが、水面に映る彼女がクリアに見えすぎていたので、オーナーがブロアで波立たせようと提案してくれたおかげで幻想的なイメージをつくりだせました。でも、撮影中、ブロアの調整が難しく、ずいぶんとモデルさんに水がかかって大変だったんですよ(笑)」
photo:Ito Shonosuke(début) make-up:Yoshida Saki(Chou Chou)

SALON:Chou Chou(沖縄県宜野湾市)
NAME:吉田早希
美容師歴:5年 クリエイション歴:2年
よしださき。『シュシュ』スタイリスト。山野美容専門学校卒業。お客さまの骨格に合わせたカットで、ナチュラルかつ色気のあるスタイルをつくる。Instagram @debut_saki_yoshida
Pick up4

theme-1:Roots
「こちらは、反省点はあるものの、自分がつくりたいものがつくれたと感じられる作品。角を残したマッシュベースに、ふわっと広がる部分や束感、ねじれを強調するためにロットの太さをランダムに配置してツイストパーマを。真っ直ぐ芯のある人物像をイメージし、正面からのアングルで唯一無二の存在感を表現しました。ヘアカラーは、茶色をベースに深緑やだいだい色、藍色を使い、できる限り明度を統一し、シルエットや質感を構成しています。沖縄で生まれ育ち、培った感性を大切に、これからも作品をつくっていきたいと思っています」
photo:Matsuyama Yusuke(CHIYODA STUDIO) make-up:FINI(BAMBI)

theme-2:誕生
「こちらの作品は、3年前、はじめて作品撮りを行ったときのもの。ヘアスタイル全体のなかで一部にだけ大胆なカラーを集中させ、光の当たり方によって“光彩”を感じてもらえるようにデザインを構成しました。また、ほおやフェイスラインに卵の殻をアクセントでのせ、卵をイメージさせる衣装と一体感がでるようにしています。このとき、ウィッグを使用する撮影も初めてで戸惑うことも多かったのですが、すごく楽しかったんですよ。今も試行錯誤しながら作品づくりをしています。悩むこともありますが、やはり楽しさのほうが上回りますね」
photo:Matsuyama Yusuke(CHIYODA STUDIO) make-up:FINI(BAMBI)

SALON:BAMBI(沖縄県那覇市)
NAME:KIRA
美容師歴:12年 クリエイション歴:3年
キラ。『バンビ』スタイリスト。専修学校ビューティーモードカレッジ卒業。お客さまを尊重しながら、さらに魅力を引き出すヘアデザインを提案するよう心がけている。Instagram @kira_mimude_bambi