青森県もクリエイティブ人口の少ないエリア。しかし、美容師の「表現したい!」という欲求はどんな環境であっても抑えることはできない。表現者としての青森県美容師の作品を見てみよう。
Pick up1

theme-1:八咫烏(やたがらす)
「日本神話に登場する八咫烏を、髪の動きとドライな質感で表現。以前は、カールスタイルをよくつくっていたのですが、2024年、JHA東北エリア最優秀賞をいただいてから、もっといろんなことをやってみたくなったんですよ。大きく変わったのが質感。この作品も、ヘアの柔らかさを追求してツヤが出ないようにしています。そのうえで、目元をぼかして撮影することでより柔らかい印象に。ぼけとは違う柔らかさが、八咫烏の神聖な印象を表現できたと思います」
photo:Matsuyama Yusuke(CHIYODA STUDIO) make-up:Kudo Yuka

theme-2:ライラック
「いろいろ試したうちのひとつがこちら。フルウィッグでつくるとフェイスラインの毛流れが揃ってしまうので、ウィッグを切ってピンで留め付け、フェイスラインをデザインしてみました。最近、コンテストで入賞する作品を見ていると、顔まわりにこだわる作品が多いように思うので、顔まわりにこだわり仕上げました。肌と髪のバランスを入念に考え、ウィッグをつくり込み、当日、モデルに被せるだけ。現場で軽くカットするだけでいい具合に仕上げることができました」
photo:Iseki Masaya(Pelican West) make-up:Kotoka(KENOMIKA.)

SALON:DRAW&CO. (青森県弘前市)
NAME:下山浩二
美容師歴:21年 クリエイション歴:7年
しもやまこうじ。『ドローアンドコー』オーナースタイリスト。ヘアーアートカレッジ木浪学園(現・青森県ビューティー&メディカル専門学校)卒業。再現性の高い、生活になじむヘアスタイル提案をモットーとする。
Instagram @draw_ujiko
Pick up2

theme-1:引力
「顔から髪が生えている作品をつくりたかったんです。それで、フルウィッグにウィッグをつなげ、髪が下に引っ張られているように見えるようトップの髪はハネさせ、下にいくにつれてストレートになるよう仕上げています。なんだか目が離せない、そんな作品を狙いました。クリエイション撮影を始めて2年。昨年はJHA北海道・東北エリアの最優秀賞をいただき、とてもうれしかったですね。撮影環境が整っておらず、年に2回くらいしか作品撮りを行うことができませんが、今年は、撮影回数を増やし、実力を証明できる年にしたいと思います」
photo:Yamazaki Makoto(Arrows) make-up:Kinami Eriko(UNMAYBE)

theme-2:陰陽
「背景・カラー・肌でコントラストが際立つようにデザインしました。このコントラストが、1枚の絵として見たときに違和感を感じさせないよう、自然に受け止められる明暗のバランスを考えています。カメラマンやモデルの手配などを考えると、年に何度も撮影できる環境ではないので、現場のノリで撮影するということはありません。この作品の明暗も、5:5になるように考え抜いて仕上げたもの。事前に自分で同じ状況を想定し、テスト撮影して、万全に準備して撮った1枚。1度の撮影で全力を出し尽くすように計算して臨んでいます」
photo:Yamazaki Makoto(Arrows) make-up:Kinami Eriko(UNMAYBE)

SALON:UNMAYBE(青森県青森市)
NAME:吉田幸治
美容師歴:16年 クリエイション歴:3年
よしだこうじ。『アンメイビー』代表。ヘアーアートカレッジ木浪学園(現・青森県ビューティー&メディカル専門学校)卒業。シンプルなヘアデザインと、肌になじむヘアカラーを得意とする。
Instagram @yossy.unmaybe
Pick up3

theme-1:アクアリウムの金魚
「アシスタント時代、『レコ』内田聡一郎さんのカットモデルを任されたことがあるんです。奇抜だけどすごく似合っていて、人生が変わる経験でした。それで、クリエイションに憧れ、2年前に作品撮りを始めました。こちらは、アクアリウムの金魚を表現。金魚のヒレのふんわり感をえり足とフロントを長めに残し、ヒラヒラ揺れる様子を毛先で表わしています。背景にフリフリのワンピースを貼り付け、水面の揺らぎに見せるように。モデルを呼ぶ金銭的余裕がないので、モデルはサロンスタッフ。撮影は自分で行っています」
photo&make-up:Shinkai Koharu(CIEL)

theme-2:焦燥
「前髪をパツンとイヤー・トゥ・イヤーまで切り込んだカットラインを見せる作品。ラインが際立つけど、表面がクシャッとしていたり、フェイスピアスが強めな印象なのに、全体の色味は柔らかい……など、さまざまな矛盾点が交錯しています。これは、作品スタイルを貫きたい気持ちや、迷いや自信の無さなど、私自身の心の内を表現しています。こちらも私が撮影。カメラマンに撮影してもらえば、もっとうまく見せられるんじゃないかと思うのですが、どうしても気後れしてしまいます。こちらのモデルもサロンスタッフ。男の子です(笑)」
photo&make-up:Shinkai Koharu(CIEL)

SALON:CIEL(青森県青森市)
NAME:新改小春
美容師歴:8年 クリエイション歴:2年
しんかいこはる。『シエル』青山店スタイリスト。ヘアーアートカレッジ木浪学園(現・青森県ビューティー&メディカル専門学校)通信課程卒業。かわいいだけでなく、生活スタイルに合わせた時短ヘアを提案する。
Instagram @koharu_shinkai
Pick up4

theme-1:back lighting
「2年前に『サイン』オープン。クリエイションをやりたいがために独立しました(笑)。カメラも自分で行っています。先日、プロカメラマンにバックライティングの方法を教えてもらい、その手法で撮影しました。後光のようにフレームに明るい毛がくるようにすることで、ヘアと体のフォルムが強調されて、おもしろい絵になるかと思ったんです。ヘアは色違いのすき毛で構成。カットはしていないのですが、後でカットしてもう少し整えればよかったと後悔。すき毛を整えることに集中しすぎてしまいました(笑)」
photo:Norita Sho(SIGN) make-up:Mari

theme-2:side lighting
「2025年JHA、THAにノミネートされた作品と合わせて4部作で仕上げたもの。誰も見たことがないものをつくりたかったので、オールウェーブの毛束が重力を無視して動いたらおもしろいなと思い、形にしてみました。ウィッグでヘアピースをつくり、地毛にのせているだけ。ヘアピースのバランスを取るのが難しかったですね。青森県の冬は雪がすごくて、撮影会を開くのが難しいんですよ。だから、年に4作品撮るのが限界。JHA、THAに合わせ、3月~6月に集中して撮影を。回数が少ないので、一度の撮影にかける集中力は高いほうだと思います」
photo:Norita Sho(SIGN) make-up:Mari

SALON:SIGN(青森県青森市)
NAME:乗田 生
美容師歴:13年 クリエイション歴:2年
のりたしょう。『サイン』オーナー。盛岡ヘアメイク専門学校卒業。お客さまのネガティブポイントをポジティブに変えるヘアづくりを。
Instagram @shonorita